祝言としての『第九』

「千秋楽は民を撫で
万歳楽には命を延ぶ
相生の松風颯颯の声ぞ楽しむ
颯颯の声ぞ楽しむ」(『高砂』)

お能の会の番組は祝言曲で終わる
というのがルールになっています。
哀傷曲で終わる場合は、地謡だけで
祝言曲のキリ(謡の最後の部分)を謡います。
これを「附祝言(つけしゅうげん)」といいます。
上の詞章はそれによく謡われます。

言霊(ことだま)といい、言葉には命が有ると
いう考え、信仰が背景にあります。
悲しい気持ちのままで会を終えてはいけない、
言祝(ことほ)いでお客様を送りだそう、
ということなのでしょう。歌舞伎を始め、
興行ごとの最終日を「千秋楽」、「楽日」と
云うのは、こういう処からきているのでしょう。

ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」
いわゆる『第九』が師走になると
日本各地で上演されます。
慣例になった理由については諸説
あるようですが、一年の終り、つまり
千秋楽を「歓喜の歌」で言祝ごうという
気持ちの現れではと思います。

『高砂』のキリも、たいへんに気分が
高揚します。600年に亘りこれを
謡い続けてきた日本人のDNAが
『第九』を歌わせているといっても
過言ではないでしょう。

今日NHK交響楽団の『第九』の中継
録画を観ながらそんな事を考えました。

皆様
どうぞ佳いお年をお迎えくださいませ。
世界が平和になりますように。

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