謡ライブin上燗や Vol.3

画像観世流シテ方の
田茂井廣道、
味方團(まどか)
両師ご出演の
ライブの三回目。
回を追うごとに
盛り上がりを
見せています。
カウンターの中に
入って立ち見(聴き?)
されていたお客様も
いらっしゃいました。

前回同様、特別ゲストに
森田流笛方の
左鴻(さこう)泰弘師、
高安流ワキ方の
原大(まさる)師を
お迎えしての一時間半でした。
今日が二十四節気の一つ
「大雪」ということで、
テーマは「冬」。先日来の
寒波襲来で、暦通りの気候となり、
雰囲気もばっちりでした。

雪月花と云いますが、能の曲には
月と花がよく出てくるのに対して
雪の降る曲というのは少なくて、
『鉢木(はちのき)』と『葛城(かづらき)』だけではと、
ある先生からお聞きしたことがあります。
そんなことで、『鉢木』を中心に、
旧暦の元旦に行われる「和布刈(めかり)
神事」を題材にした『和布刈』、
散り敷いた紅葉の上に薄氷が張った
様を詠んだ歌をモチーフにした
『龍田』などの曲の一部を、独吟・連吟で、
あるいはお笛と共に謡ってくださいました。
左鴻先生の独奏とお話もありました。
演奏の際、心掛けておられる事はとの
質問に、「笛も他の三つの楽器同様、
打楽器だと思って吹いています。」とのお答え。
かねてからそのように感じ考えていた私は
「小膝叩いてにっこり笑い」どころか、
ウンウンと大きくうなずいてしまいました。

お笛の、特に「早笛」などは舞台で聴いても
大変迫力がありますが、2mぐらいの距離で
聴きますと、蝸牛管(かぎゅうかん)全体が
鳴動するかのごとき大迫力です。
ロケンロールのライブにも引けを取らないです。

興味深かったのが「原先生のコーナー」で、
「十分間ご自由に」と、案内役の田茂井先生から
うながされてのご登場。まず『鉢木』の後場、
北条時頼が佐野源左衛門常世(さののげんざえもん
つねよ)を召し出し、所領を安堵してやる場面を
謡われました。それからフリートーク。
体感だけでなく、心の寒さや、それがほどけた時の
暖かさといったものを、体験を交えてお話し
くださいました。また、シテが登場するまでの
ワキ謡は割愛されることも多いそうですが、
中に詞章が美しく、好きなものもあります、
とのお話の後、『項羽』の下げ歌・上げ歌を
謡ってくださいました。

玄人会でも割愛されることがあるというお話で、
聞いている私は釈然としないものを感じましたが、
原先生は決して恨みがましくはおっしゃいませんでした。
素晴らしいお人柄だと思います。
シテ中心主義をとる能の世界では、ややもすると
ワキ方やアイ狂言が低く見られ、軽く扱われる
こともあるように見受けられます。色々と事情も
お有りなのでしょうが、できるだけすべて
拝見したいものです。
また観客の中にも、おシテが登場する頃に客席に
入ってきたり、中入になったら堂々と当り前の
ような顔で出て行ったりする人がおられますが、
こういう風潮は是非改めて頂きたいと思います。
演者の方々に失礼ですし、舞台に集中したい
他の観客にとっては大変迷惑なのです。
入場料を代わりに払ってくれ、と言いたくなる
事も少なくありません。能楽の普及が云われますが、
このようなことではお稽古をされない一般の人達を
観客として取り込むのは難しいでしょう。

話が逸れました。すみません。
最後は祝言として連吟とお笛で『石橋(しゃっきょう)』を
「獅子団乱旋(ししとらでん)」より。
さらに異例ではありますが、アンコール(?)に
『大瓶猩々(たいへいしょうじょう)』の一部を。

終演後は「お楽しみ抽選会」。
先生方がおシテを勤められる「林定期能」、
「観世蛍雪会」のチケット。上燗やさん特製の
大人気商品「醤油豆」。拙作の器が景品でした。

中立ちの後、しつらいを直して懇親会。
先生方を囲んで遅くまで盛り上がりました。
人数に限りがありますが、ぜひどうぞ
ご参加くださいませ。楽しいです。

写真は上燗やさんの「錫(すず)の徳利入り看板」。
ご来店はこの看板を目印に、と言いたいところですが、
すごく上の方に設置されていて、それに暗いので
あまり目立ちません。常連さんでも存在を
ご存知ない方が多いのではと思われます。

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この記事へのコメント

もず
2005年12月09日 21:15
ワキさんは大切なストーリーテラーでもありますものね。できるだけ心静かに耳を傾けたいものです。
良いワキ、良いアイ、良い幕あげ…本当に心に残る舞台はそれらすべてが行き届き、シテに集約されていたように思います。そこにちゃんと参加できる観客として、いつもありたいです。
月下酔 黙琴堂 主人
2005年12月10日 02:01
>もずさん
興奮して指が滑ってしまい
ました…。読み返すと
恥ずかしいですが、常日頃
思っている事には違い
ありません。

「良いワキ、良いアイ、
良い幕あげ…」もずさんの
おっしゃる通りだと思います。
それが本当の意味での
シテ中心主義なのでしょう。
「神はディティールに宿る」
という言葉はお能にも
当てはまると思います。

もずさんの真摯で謙虚な
コメントに我が身が思い
やられ、お恥ずかしい
限りです。見習わせて
頂きたいです。

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