濁り酒濁れる飲めば

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最近若者の間で、美味しいものを食べた時に
「ヤバイ」と言って称賛するのが流行っているそうです。
若人の風俗に疎い私ですが、この感覚はなんとなく
解る気がします。喜びの極に達した時、自分が
どうにかなってしまうのではなかろうかという、
幸せ過ぎて恐い、という感じを希釈して用いて
いるのではなかろうか、そんな風に思います。

一方、おじさん達の中にもこの時期にお酒を
呑んで「これはヤバイなあ」と口にする人が
います。寒中しか出回らない、「にごり酒」や
「しぼりたて」「槽口(ふなくち)」などと呼ばれる
原酒を呑み始めた時にです。こちらは本来の
意味で使われています。口当たりが大変よろしい。
美味しい、呑みやすい。ついついピッチが上がって
しまう。その上アルコール度数が普通より高い。
酔っ払ってしまう…。という己(おの)が末路を
最初の一口を含んだ瞬間に見通してしまうのです、
酒飲みの手ダレというものは。
そこでその運命に敢然として立ち向かい、
常のお酒に切り替えて事無きを得る人もあれば、
泰然として運命に身を任す人もいます。
もちろん私は後者です。(もっとも、何をどう飲んでも
結末は同じことですが。)

「にごり酒」は瓶詰めをしてからも発酵が進むので
発泡酒の一種でもあります。沈んだ澱(おり)を
混ぜようと何度か瓶を上下にしてから蓋を開けたら
さあ大変。ものすごい勢いでお酒が噴き出します。
テーブルや畳の神様にお酒を捧げた人も少なく
ないと思います。買って帰ったら2・3日は冷蔵庫で
安静に保ち、開けるときは栓を少しづつ緩めましょう。
ガス抜きが終わってから、おもむろに瓶を上下にして
澱を混ぜるようにすると安全です。

連れ合いがバレンタインデイとて、「獺祭(だっさい)」の
にごり酒をプレゼントしてくれました。これがまあ、
なんとも言えず美味しい!お酒の方から口の中へ
飛び込んでくる、というやつです。本当に新鮮な
魚や野菜を食べた時のような感動がありました。
大袈裟に聞こえるかも知れませんが、涙が出そうでした。
ほんのり甘く、乳酸菌の香りを残しながらベトつかない。
すっきりと上品な飲み口と後味。ご馳走様でした。
ひな祭りが近づきました。にごり酒は大人の白酒ですね。

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この記事へのコメント

おらんと
2007年02月17日 21:59
獺祭・・・!!!
私がいただいたのは、たしか純米吟醸でした。
初めていただいたときはあまりのおいしさに絶句いたしました。
にごり酒も一度飲んでみたいです。

ご主人もさることながら、奥様もかなりいける口とみましたが、いかがでしょう??
月下酔 黙琴堂 主人
2007年02月18日 01:55
>おらんとさん
山口県の小さな蔵だそうですが、誠実なお酒造りをされているようです。ほんとに一口目は言葉を失いますね。今の時期だけですので、にごり酒も是非どうぞ。

そうおっしゃる、おらんとさんこそ、かなりいける口と拝察致します!連れ合いは左程ではありませんが、一度お手合わせをお願い申し上げます(笑)。
おらんと
2007年02月21日 00:23
いつか是非ご一緒させてくださいね。
楽しみにしています!
月下酔 黙琴堂 主人
2007年02月21日 19:29
>おらんとさん
奈良で「春鹿」というのもいいですねえ。
どうぞよろしく!

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